【こども技研のSTEM】当たり前のようで当たり前でない、基礎から数学を理解するということ

数学教室endeavourの教材

 数学は公式を覚えるだけでは使えません。

 「え?公式でテストの点は取れるよね」

 それはそうです。
 だけどここでの「使える」とは社会に出てからのことです。
 社会で必要なのは、公式やパターンを覚えて吐き出すことではなく、状況を整理して、何をどう計算すればいいかを自分で導き出す力です。

 この力をつけるためには、計算のやり方を覚えるだけでは足りません。

 数式や図形が表している意味を理解すること——それこそが数学の基礎です。
 計算問題が解けるから「基礎ができている」ということではありません。

 近年の文部科学省の調査でも、計算はできても意味を説明できない生徒が多く、応用問題で正答率が大きく下がる結果が出ています。

 文章問題は「応用」という名で呼ばれがちですが、本質は「基本を理解しているか」を問う問題なのです。

数学を意味から理解する重要性

 ここでいう「意味を理解する」とは、その数式や公式が成り立つ理由や背景を、自分の言葉で説明できることです。
 例えば公式であれば、その公式を導き出せるか?ということです。

 数学の学びで本当に大切なのは、計算の手順や公式を覚えることではなく、それが何を表しているのかを理解することです。
 意味を理解することで、初めて知識は応用へとつながりますし、忘れにくくなります。 


フォーカスゴールドジュニアとは?

 フォーカスゴールドジュニア(以下、FGJ)は、主に中高一貫の学校で使われている、啓林館が発行する中学生向け数学教材です。
 一般的な教科書・参考書・問題集と大きく異なるのは、

・読むことで数学を学べるように作られている点
・単元ごとに数学的な概念や背景を解説する文章がある
・計算や公式を覚える前に「なぜそうなるのか」を理解できる
・暗記するのではなく、理屈から基礎を積み上げる内容
・どこから読んでもいい読み物としての本

 数学の本に「読む楽しさ」を求める人は、あまりいないかもしれません。
 でも FGJ は、数学を「読むもの」に変えてくれます。
 数学の本だけど「読み物として」「楽しく」「理解を深める」本なのです。


フォーカスゴールドジュニアをこども技研で使う理由

 こども技研では、Endeavourクラス(中学理系数学クラス)でフォーカスゴールドジュニア(FGJ)を使っています。
 その理由は、大きく4つあります。

  1. 基礎から数学を理解してほしい
  2. 独学できる力を身につけてほしい
  3. 論理的な文章をすらすら読めるようになってほしい
  4. 自分から進んで学ぶようになってほしい

 この中で特に重視するのが4です。
 「やらされる」のと「自分から進んでやる」のとでは、全然違うことは実感として理解していただけると思います。

 さらに「自分から進んでやる」理由は、「義務感」や「プレッシャー」ではなく「楽しいから」であってほしいのです。
 この点で、FGJは「数学って楽しいでしょ!」と本当に書かれている数少ない本なのです。著者が「数学LOVE❤️」なことが伝わってきます。

 教科書は「理解させる」ことに関して第一の本ですが、「数学って楽しいぞー!」という熱意は感じません。それは教科書なので当然ですよね。
 だけど、こども技研では、何かの始まりのきっかけは「楽しそう!」であってほしいのです。

 「楽しそう」かつ「よくわかる」かつ「きれいで正しい日本語で書かれている」から、FGJをEndeavourで使います。


長文を読む力と数学の関係

 数学とは、

「物事の仕組みや関係を筋道立てて表し、確かめるための言語」

です。

 数字や記号はあくまで表記の道具であり、本質は「考える順序」と「説明の正しさ」にあります。

 現実の出来事を、ことばと数で整理し、矛盾なく説明する。
 その力があるから、数学は科学、技術、経済、そして日常の判断までを支える基盤になります。

 その数学に必要な道具が、数字と言語です。

 フォーカスゴールドジュニア(FGJ)は、この点で非常に特徴的です。
 最近の参考書としては珍しく、必要最小限の図解と、しっかりとした文章による説明で構成されています。
 読み進めるうちに、自然と論理を追う習慣が身につき、文章で考える力が鍛えられます。

 これらは数学だけでなく、将来どんな分野でも役立つ力となります。


まとめ

 数学の成績を上げるために、あらゆるパターンの解き方を暗記し、テスト本番でそれをなぞるだけ——そんな学び方が、受験の現場で幅を利かせています。

 だけどこれは「短期記憶で点を取るテクニック」であって「数学の理解」とは全く異なります。

 テストで点を取れたら、とりあえず受験はクリアできるかもしれません。

 だけど、技術屋の世界で生きてきた私には、「考えること、理解することを放棄した技術者・研究者はいない」としか言えません。

 だから、こども技研のEndeavourクラスでは、「理解する数学」にこだわります。
 そのために、楽しさと深い理解の両方を兼ね備えた教材——フォーカスゴールドジュニアを選びました。

 式と言葉を読むことで理解を積み上げ、自分の言葉で説明できる力を育てる——それが、本当に使える数学への道だと思います。

 そしてさらに、誰も見ていなくても、誰にも言われなくても、自分でその道を一人で進むことができるようになる——それが、一人前の研究者・技術者になる道だと考えています。

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