こども技研の通常クラスは、こどもたちが自分ですることを決めて時間を使います。
ですが、それとは別に、自由参加型のイベントクラス「Opportunity(オポチュニティ)」という場があります。
今回のテーマは、「高く飛ぶパッチンガエルの考察」。
なんだか、大人なんだかこどもなんだかわからないようなテーマですね(笑)。
でも、この「考察」という言葉の通り、そこには大人の仕事のエッセンスのような、こどもたちにとっては、深く、泥臭い「研究」のドラマがありました。 ^^
「たくさん失敗してみよう!」が合言葉の私たちのラボで、研究員たちが何を見つけ、どう笑ったのか。詳しくはこの後をお読みください。

オポチュニティ、スタート!
今回のラボの主役は、輪ゴム一本で高く跳ね上がるシンプルなおもちゃ「パッチン」です。
みなさまも子供の頃に作ったことがあるのではないでしょうか?
下の画像のこれです。
見本は私があらかじめ作っておきました。

「さあ、今から始めよう。今日のテーマはこれ」と、「パチン!」と高く飛ばしてみせると、研究員たちの目が輝きました。
そして、材料であるボール紙や輪ゴム、ハサミやセロテープ、養生テープを渡しました。
こうした時、作り方の説明をしないのがこども技研流です。
「めっちゃとぶパッチンを作ろう!」という言葉だけで、研究をスタートしました。
観察から見つける構造の論理
上の見本をよく見るとわかるのですが、このパッチンガエルを作っているボール紙って薄いんです。
あえて「薄いボール紙」を使っています。
パッチンガエルを作る時は、ゴムの力に負けないような、分厚い紙を使うのがセオリーです。
だけど、「そのセオリーに自分たちで気づいて欲しい」というのが、薄い紙を用意した目的です。
一人の研究員は、最初から「2枚重なっている」ことに気が付きましたが、もう一人は気がつきませんでした。
気が付かなかった研究員も、もう一人の研究員が2枚重ねたことには気が付きましたが、それでも1枚だけで作り始めました。
この行為に、わたしは「めっちゃうれしかった!」のです。
「人がやってるから自分もしよう」では、学びは少ないのです。それに「空気を読む」ばかりなんて楽しくありません。
そう考えているので、「とにかく、まずは自分の考えを試してみる」姿勢がとてもうれしいのです。
もちろん、そのまま失敗するのは見えています。
だけど、その失敗を見守ります。
失敗を笑える強さ
案の定、最初は誰も上手く飛びませんでした。
最初から2枚重ねで作った研究員のカエルも、一つ目は全然飛びませんでした。
少しサイズが小さくてゴムがゆるゆる。大人だだと見ただけで想像できることが、人生まだ数年の子供には未体験のことなのですから当然です。
薄いボール紙を1枚で使った研究員たちは、飛ばそうとすると台紙が「ぐにゃり」と折れ曲がってしまう壁にぶち当たりました。
そのことを目にした子供研究員たちのリアクションは「爆笑」。
なんて素敵な光景でしょう。(*^^*)
今は失敗を笑える研究員たちも、入所当初は「失敗しちゃいけない、かっこわるいとこみせちゃいけない」という、現代のごく普通のおこさまたちでした。
だけど、半年の間に、こんなに強くなりました。
もう、我が子のことのように嬉しい所長です。笑
話を戻しますね。
次に研究員たちがとった行動は、サイズの拡大、紙を重ねることによる丈夫さの追求でした。
3枚重ねもしたんですよ。
だけどそうすると重くなりすぎて、逆に飛ばないことも、自分たちで気が付きました。
私はこの間、「大きなかえる」「ゴム3本」などを子どもたちの前で一緒に作ったりしていました。
あえて失敗することもします。
これらは、「見といてよ」ではなく、ただ一緒に楽しんでいるふうにです。
「進むことができる方向」を言葉ではなく見せたかったのです。
大人が「こどもたちが自分で発見する権利」を奪ってはダメだと考えているからです。
「言葉で伝える」とほぼ「教える」ことになってしまって、子どもにとっては受動的な体験になります。
だけど、「横でやってることに気が付く」のは、子どもにとって主体的な学びになります。
成長も楽しさも、全然違うと思うのです。
成功体験
こども技研のキャッチコピーのひとつに、「たくさん失敗してみよう!」というのがあります。
「失敗は、『こうすれば失敗する』ってことを教えてくれる」からです。
「たくさん失敗して、失敗する方法を知って、失敗しないようになろう!」なのです。
だけど、まだ小さなこどもたちに失敗ばかりは辛すぎます。
だから、制作の途中は、たくさん飛ぶカエルができるように、「がんばれー、がんばれー」と心の中での応援です。
失敗が見えてる方向へ進みそうになると、「違う!そうじゃない〜」とどこかの歌のタイトルのようなことばかりが、心をよぎります。
だけど、それを言っちゃいけない。
これはこどもだけでなく、大人の若手を育てる時もそうなのですが、成長を望むなら年長者のすべき最も重要なことは「我慢」だと感じています。
「教える」のは気持ちいいです。だけど、逆の立場になると、「教えられる」より「自分で達成する」方が、何十倍も気持ちいいです。
その達成感を、カエルで感じて欲しかったのです。
そうして、小さな研究員たちの試行錯誤の結果・・・
上の動画は途中経過です。
最後の方である10号機くらいは、二人のカエルは、テーブルの上からだと子どもたちの背を越えるほどに飛ぶようになりました。
いやあ、本当に・・・
ほっとしました!笑
「成功よりも失敗の方が得るものが多い」はおそらく事実だと思います。
だけど、「成功での達成感」という栄養がないと、失敗を続けるためのエネルギーが枯れてしまいます。
最後は、私の想像以上に飛ぶカエルを、二人共に作ることができました。
よかった、よかった!
みなさまには、楽しく満足した子どもたちの様子をお見せできなくてごめんなさい。
保護者の方は、実際の模様を専用サイトでご覧ください。^ ^

